Slaked Grace [SUPER DELUXE Edition]

Slaked Grace 20 周年を記念した日本独自企画の豪華 BOX 仕様として 4 枚組の完全限定生産で登場

... - No Title

今となっては Kevin Drumm さんの仕事だと知れ渡ってるようなのですが Sähkö からポッとリリースされた当時はこの徹底的に排されたメタ情報、ニシオンデンザメのヴィジュアルと薀蓄だけをフィーチュアしたアートワーク、そしてこの音という組み合わせに度肝を抜かれたものです。

アンビエントとしての機能を求めて再生するとどうしても A 面序盤の探査機チックなノイズ展開が蛇足に思えてしまうのですが、作品の導入として必要なパートというのは理解るのでぐっと堪えつつ…そこを抜けてから B 面にまで亘るまさに深海を生身で漂っているかのような、実際そんなことをすると死んでるはずなのですが、それっぽい感覚を与えてくれるドローンと SE の応酬はこの作品ならではの秀逸な展開を飽きさせることなくリスナーに示してくれます。

…などという尤もらしいインプレッションを書き連ねているものの、ではもし仮にこの Kevin Drumm さんの bandcamp に並べられた大量の作品群のうちの一つとして提示されていたら(実際たしか同じ音源が別ジャケ別タイトルで置かれていたはずなんですが、どれでしたっけ…)、果たして自分はちゃんと拾えたのかってのもあるし同じ感想をこの作品に持てたのかという疑問もあるし、そう考えるとほんと自分って音楽を聞いてるフリをして情報を食ってるんだにゃあ…音楽それ自体も情報の塊ではあるのだけれど…と改めて思い知らせてくれる点においても Metaphone にとって大事な作品ということなのです。