Slaked Grace [SUPER DELUXE Edition]

Slaked Grace 20 周年を記念した日本独自企画の豪華 BOX 仕様として 4 枚組の完全限定生産で登場

DeepChord presents Echospace - Vibrational Studies (In Echospace) / Symbolism in Transition

最近わたくしの耳がなんでか妙にダブテクノを求めている節がありまして…。今までも必要に応じてつまみ食いはしつつ基本的にそこまで掘り下げの余地に溢れたジャンルかと言われるとそうでもないよねえという偏見から深入りを避けてたわけですが、ふと改めて聞き返すとフィールドレコーディングとの相性の良さとか、主張が強すぎないがゆえにマンネリズムとスレスレのところで生み出される作品が何だか職人技の成果っぽくてなかなか渋味のあるジャンルなのではという気付きとか、そういった要素をポジティブに受け止めるモードに自分の方がここ最近で切り替わったっぽいです。

で、そんなことをウダウダ言いつつも以前からずっと Echospace さんの Liumin というアルバムはめちゃんこ大好き(特に限定版?の 2 枚目がたまらんのですよ…いずれ記事として書ければと…)だったわけですが、えっちょっと待ってこの都心の夜景っぽいジャケどう見ても Liumin と地続きだしっていうか #1 のタイトルが完全に Liumin の #1 の別 ver やん…こんなリリースあったの全く知らなかった…って知って最近頭を抱えたのが本作です。

とはいえ Liumin の #1 はアルバムの導入部としてうっすら不穏さは漂わせつつも着実にアルバムへの没入感を高める役割を果たしていたのに対し、本作の #1 はかなりノイジーな味付けとなっていて耳当たりはそこまで心地よいものではないですね。それこそタイトルに "study" と冠しているように割と実験的なアプローチの成果物として仕上げた別曲という捉え方をするのが妥当そうです。いっぽう #2 は全編を通してこれぞダブテクノといったリズムがゆったりとしたパッドのメロディと絡み合う展開を見せる佳曲で、それこそ Liumin の 1 曲として収められていても違和感が無さそうです。いまの自分が欲しているのは明らかにこちらですね。

Dream Continuum - Reworkz e.p.

なんでか bandcamp には無さそうなので Apple Music のリンクを埋め込んでみたのですがデカすぎますね。

Room(s) を出してかなり脂が乗っていたであろうタイミングの Machinedrum さんと、 Civil Music を中心に変化球ベースミュージック探求をしていた傍らで実は Phillip D Kick 名義でフットワークジャングル遊びに精を出していた Om Unit さんが組んだ作品ということでまあハズれるわけがないですね。レイヴ色が強めな #2 やジャングル味が大事にあたためられてそうな #3 も好きなのですが、やはり Room(s) の延長線上に位置しそうな #1 が出色な印象が今でもあります。ふわふわとした導入部から少しずつリズム隊が乗ってきたかと思いきやエグみあるベースが主導する展開へと一気に切り替わってからの緊張感がすごい…

ユニット名に反してこの作品以外には数年後の Astrophonica のコンピに 1 曲提供したくらいしかリリースが無いはずで、各人のリリースで相応に愉しませてもらえているのでこのユニットでのリリースにそこまで拘泥する必要が無いとは言え…もうちょっとリリース重ねてくれるものと勝手に期待していたので、別ジャンルとの接続が試みられたフットワークが好物な自分としては非常にやるせないところ。

... - No Title

今となっては Kevin Drumm さんの仕事だと知れ渡ってるようなのですが Sähkö からポッとリリースされた当時はこの徹底的に排されたメタ情報、ニシオンデンザメのヴィジュアルと薀蓄だけをフィーチュアしたアートワーク、そしてこの音という組み合わせに度肝を抜かれたものです。

アンビエントとしての機能を求めて再生するとどうしても A 面序盤の探査機チックなノイズ展開が蛇足に思えてしまうのですが、作品の導入として必要なパートというのは理解るのでぐっと堪えつつ…そこを抜けてから B 面にまで亘るまさに深海を生身で漂っているかのような、実際そんなことをすると死んでるはずなのですが、それっぽい感覚を与えてくれるドローンと SE の応酬はこの作品ならではの秀逸な展開を飽きさせることなくリスナーに示してくれます。

…などという尤もらしいインプレッションを書き連ねているものの、ではもし仮にこの Kevin Drumm さんの bandcamp に並べられた大量の作品群のうちの一つとして提示されていたら(実際たしか同じ音源が別ジャケ別タイトルで置かれていたはずなんですが、どれでしたっけ…)、果たして自分はちゃんと拾えたのかってのもあるし同じ感想をこの作品に持てたのかという疑問もあるし、そう考えるとほんと自分って音楽を聞いてるフリをして情報を食ってるんだにゃあ…音楽それ自体も情報の塊ではあるのだけれど…と改めて思い知らせてくれる点においても Metaphone にとって大事な作品ということなのです。

Dusty Kid - A Raver’s Diary

 リズム隊は素直にテクノながらジャケ写が喚起するイメージ通りなかなか明るい雰囲気をもたらすウワモノの応酬が心地良くてなるほどこれが Dusty Kid さんのレイヴ感なのですね…私もそんな感じです…にしても 10 分超えの大曲から始まるアルバム終盤の目まぐるしい展開はちょっと面食らう(;´Д`)

Pangaea - Bone Sucka

ゆっくり目ブレイクビーツありきでじわじわと攻める A 面に対してテクノちっくな B 面という構成。自分的第何次かもう忘れたジャングルブームが到来中の身としては A 面もグッと来るものの怪しげなピアノのリフが少しずつ狂っていく B 面のがやっぱり好き…

M.E.S.H. - Damaged Merc

一聴すればベースミュージックの文脈上にいる人であることは明らかなのに、レーベルの色もあるでしょうけどなかなかにエクスペリメンタル…にも関わらず全 4 曲通して割と聞きやすいのは何だか人懐っこい声ネタの使い方のおかげかしらん。ネオンサインぽいけど何を表現しているのかわけわからんアートワークはやっぱ実物を手に取らなきゃかしらと思ったけどこれ配信オンリー?

Djrum - forgetting EP

 

Forgetting - EP

Forgetting - EP

  • Djrum
  • IDM / エクスペリメンタル
  • ¥600

これはすごく良い!

アトモスフェリックな音像で bass music を象るのが得意なイメージがある Djrum さん(未だに読み方分からん)の新譜であることを踏まえれば #1 の怪しさ満点な導入には納得ながら、ほぼノンビートで post-classical スレスレな #2 に驚かされ EP 中で最も長尺な #3 でそこまでの流れを汲みつつビートが思い切り炸裂する流れがたまらん!そしてピアノで静かにクロージングに向かう #4 のタイトルが "forgetting coda" っちゅうならちゃんと EP 全体を通して計算された構成だったのねと平伏するしか(;´Д`) 更に想像力を掻き立てるアートワークがまた…

たしか 3 ヶ月連続リリースの一発目らしいのでこりゃハードル上がりましたな。